京都・先端ナノテク総合支援ネットワーク 国立大学法人 京都大学
Kyoto-Advanced Nanotechnology
Network
次世代半導体金属材料のためのプラズマエッチングプロセスの開発
a京都工芸繊維大学大学院電子システム工学部門 b京都大学大学院電子工学専攻
氏名 石田 拓也a, 高橋 和生a, 中村 敏浩b
【研究目的】
従来のDRAM(Dynamic Random-Access Memory)に変わる記憶素子として、遷移金属酸化物の非線形的な電気特性を利用するReRAM(Resistive-change RAM)が注目されている。本研究では、ReRAMへの応用が期待されるPr1-xCaxMnO3 (x=0.3)(PCMO)を取り上げ、素子作製に必須であるプラズマエッチング加工を試み、材料のエッチング特性並びにその加工が材料の電気的特性に与える影響について、X線光電子分光法(XPS)により表面の化学組成分析を行い調査した。
【成 果】
Fig. 1にPCMO及びSiのエッチングレートを示す。少量の酸素を添加した状態であるガス流量比0から0.2の領域では、Siのエッチングレートが増加している。これはFラジカル密度の増大によるエッチングレートの変化を表している。ガス流量比が0.2から0.6の間では、Siのレートが減少しているにも拘わらず、PCMOのレートが増加している。これはPCMOがFラジカルに依らない化学反応によりエッチングされる、もしくは増加するOラジカルによりエッチングが阻害されないことを示唆する。
Fig. 2にPCMOのI-V特性を示す。プラズマ処理の前後で、I-V特性は大きく変化する。電流値の大きな変化から、プラズマ処理による試料最表面の化学組成の変化だけに依るものとは考え難い。今後、電流の経路となっていると予想される数十nmの深さまでの領域において、エッチングの影響を調査する必要がある。